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ECコンサルティング・ECサイト構築会社|アイヴィクス株式会社


「機能はすごいんだけど、ウチの現場には合わなかったんだよね…」
ある町工場の社長様からご相談をいただいた際、最初に出てきたのはそんなため息交じりの言葉でした。
実はこの工場様、以前に月額制(サブスク)の生産管理アプリを導入していました。しかし、高機能なパッケージソフトは、独自の工程や特殊な商習慣を持つ現場には馴染まず、結局契約したまま放置され、現場では相変わらずExcelと紙が飛び交っていたのです。
「もう、システム選びで失敗したくない」
そんな切実な想いに応えるために、私がDXコンサルタントとして提案したのが、ノーコードツール「AppSheet」を使った「自社業務に100%合わせるアプリ開発」でした。
今回は、実際に開発したアプリの設計図(データ構造)を特別に公開しながら、なぜ町工場のDXにはパッケージよりAppSheetが効くのか、その裏側をお話しします。
目次
なぜ、多くの町工場でシステム導入が失敗するのでしょうか? 決して社長の決断が間違っていたわけでも、現場の意識が低いわけでもありません。最大の原因は「パッケージソフト(既製品)と、現場のリアリティとのギャップ」にあります。
結果として、「システムに合わせて仕事を変える」ことを現場に強いることになり、拒絶反応が起きてしまうのです。 DXの本質は、業務をシステムに合わせることではありません。「自社の強みである業務フローをそのままに、デジタルで効率化する」ことこそが、本当の町工場DXです。
そこで今回、私が提案したのがGoogleが提供するノーコードツール「AppSheet」でした。 私はプログラマーではありません。あくまでお客様の課題解決を支援する立場の人間として、以下の3つの理由から「これしかない」と確信しました。
スクラッチ開発(ゼロからプログラミングで作る手法)ではコストが合いません。しかしAppSheetなら、Excel感覚でデータベースを構築でき、開発工数を劇的に削減できます。予算を抑えつつ、パッケージでは不可能だった「御社専用の仕様」を実現できます。
現場から「ここの入力、面倒だから選択式にして」と言われたら、その場ですぐに直せる。このスピード感こそが重要です。契約して終わりのパッケージとは違い、使いながら育てていくことができます。
技術的な実装は弊社の技術チームが行いますが、最も重要なのは設計の前段階です。 社長が「何を実現したいか(経営視点)」と、現場が「どう使いたいか(UX視点)」をヒアリングし、それをシステム要件に翻訳して伝える。これが成功の鍵でした。
では、実際にどのようなアプリを作ったのか? 今回はお客様の許可をいただき、アプリの心臓部である「データ構造定義(設計図)」を公開します。
パッケージソフトのような汎用性はありません。しかし、この工場様にとっては「これ以上ない最適解」となっています。
まずはデータの関連図をご覧ください。

特に工夫したポイントを抜粋して解説します。
1つの注文に対して、切断・加工・検査など複数の工程が発生します。これを「親子関係(IsPartOf)」で結ぶことで、現場は画面を行ったり来たりせず、スムーズに入力できます。
| テーブル名 | カラム名 | Type | 設計の狙い・コンサルメモ |
| 生産指示(親) | 生産指示ID | Text | システム管理上のキー(UNIQUEID)。 |
| 顧客ID | Ref | 顧客マスタを参照。入力ミス防止。 | |
| 製品ID | Ref | 製品マスタを参照。図面データも自動で紐付け。 | |
| QRコード | Image | 現品票に印刷し、スマホで読み取るだけで工程入力画面へ。 | |
| 工程指示(子) | 工程指示ID | Text | |
| 生産指示ID | Ref | 親テーブルへの紐付け。ここが切れると迷子データになる。 | |
| 工程ID | Ref | 切断、旋盤、フライスなどの工程を選択。 | |
| 目標サイクルタイム | Time | 予実管理(予定と実績の比較)のため設置。 | |
| 実績数 | Number | 現場での入力項目。 |
TYPEについての詳細はこちらを参照ください。
現場担当者が最も嫌がるのが「文字入力」です。 素材を選ぶだけで、サイズや材質が自動的に表示される仕組み(Dereference機能)を採用し、「選ぶだけ」の体験を作りました。
| テーブル名 | カラム名 | Type | 設計の狙い・コンサルメモ |
| 発注明細 | 素材ID | Ref | 素材マスタから選択。 |
| サイズ | Text | [素材ID].[直径] などの計算式で、規格を自動結合して表示。 | |
| 入荷日 | Date | 分納管理や納期遅れチェックに使用。 |
このアプリを導入して数ヶ月。現場には大きな変化が起きました。
かつてパッケージソフトを導入した際は、埃を被っていたタブレット。 今では、油まみれの手袋をした職人さんが、休憩時間に「昨日の実績、ここ間違ってたから直しといたよ」と操作している姿があります。
今回の事例で証明されたのは、「過去のシステム導入の失敗は、決して無駄ではない」ということです。 「何が合わなかったか」を明確に知っている企業こそ、次は必ず成功します。
町工場の強みは、その独自性にあります。 既製品のパッケージソフトに無理やり合わせる必要はありません。御社の強みである「独自の業務フロー」を崩さず、ITの力で効率化する。それが本当のDXです。
「ウチも昔、システムを入れて失敗したんだよな…」 そんな経験をお持ちの企業様こそ、ぜひ一度私たちにお話をお聞かせください。 技術の話は後回しで構いません。まずは御社の「現場の悩み」を、そのままぶつけてみませんか?
弊社では製造業DXで生産管理や在庫管理の業務効率を推進していくため、ノーコードでの業務アプリ開発と伴走支援を行っております。

ブランディングで育てるECコンサルティング会社を経営。
ECコンサルタント兼Webマーケターとして、中小企業向けに100社以上のECサイト構築、50社以上の課題解決を支援してきました。ブランドの魅力を可視化し「選ばれるECサイト」を実現するブランディングデザイナーでもあります。全日本SEO協会会員として、SEOによる集客支援にも定評があります。
10年以上にわたりEコマース支援を行ってきた中で、売上向上には表側の集客・販売戦略だけでなく、裏側を支えるバックオフィスの効率化が大きく関係することに気づきました。そこで現在は、kintoneを活用した業務改善・DX支援にも力を入れ、ECと業務の両面から企業の成長をワンストップで支援しています。

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