投稿日:20250616
更新日:20250617
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kintone
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kintone(キントーン)の魅力は、その多機能性だけでなく、専門的なIT知識がない人でも比較的簡単に使い始められる点にあります。ここからでは、kintoneの基本的な使い方について、初心者の方にもわかりやすく解説します。最初のアプリ作成から、日々のデータ入力・共有、アクセス管理、そしてチームでの具体的な活用イメージまで、ステップを追って見ていきましょう。
はじめてのアプリ作成手順(ドラッグ&ドロップで簡単設計)
kintone(キントーン)を使い始める第一歩は、「アプリ」の作成です。ここでは、最も基本的な「はじめから作成」する方法を中心に、ドラッグ&ドロップによる簡単なアプリ設計の手順を解説します。
- アプリ作成画面へのアクセス:kintoneにログインすると表示されるポータル画面(トップページ)の「アプリ」エリアにある「+」マークのアイコン(「アプリを作成する」と表示されることもあります)をクリックします。
- アプリ作成方法の選択:クリックすると、いくつかのアプリ作成方法が提示されます。
- はじめから作成: 何もない状態から自由にアプリを設計します。
- サンプルアプリを追加する: 業種別・業務別に用意された100種類以上のテンプレートから選び、必要に応じてカスタマイズします。
- Excel/CSVを読み込んで作成: 既存のExcelファイルやCSVファイルをアップロードし、そのデータと構造を元にアプリを自動生成します。
- 登録済みのテンプレートからアプリを作成する: 自社で作成・登録したテンプレートを利用します。
- ほかのアプリを再利用して新しく作成する(アプリのコピー): 既存のアプリをコピーして、新しいアプリのベースにします。 今回は「はじめから作成」を選びます。
- アプリ名の設定:新しいアプリのフォーム設定画面が表示されたら、まず「アプリ名」を入力します。例えば、「日報アプリ」「顧客リスト」「案件管理」など、アプリの内容がわかる名前を付けましょう。アプリアイコンも後から変更可能です。
- フィールドの配置(ドラッグ&ドロップ):画面左側には、「文字列(1行)」「数値」「日付」「添付ファイル」「ラジオボタン」「チェックボックス」といった様々な種類の「フィールド」(データ入力項目)が一覧で表示されています。ここから必要なフィールドを選び、右側のフォームエリア(アプリの入力画面になる部分)にドラッグ&ドロップで配置していきます。例えば、日報アプリなら「日付」フィールド、「作成者」フィールド(自動でログインユーザー名が入るように設定可能)、「今日やったこと」を入力するための「文字列(複数行)」フィールドなどを配置します。
- フィールドの設定:配置した各フィールドには、より詳細な設定を行うことができます。フィールドにマウスカーソルを合わせると表示される歯車マーク(設定アイコン)をクリックします。
- フィールド名: 各入力項目の見出しとなる名前を設定します(例:「報告日」「担当者名」「業務内容」)。
- オプション設定: フィールドタイプによっては、必須入力にするか、初期値を設定するか、選択肢の内容を編集するなどの設定が可能です。例えば、「リンク」フィールドで「入力値の種類」を「メールアドレス」に設定すると、入力されたメールアドレスをクリックした際にメーラーが起動するようになります。
- フィールドの調整:配置したフィールドは、ドラッグ&ドロップで位置を自由に変更したり、横幅や縦幅を調整したりできます。また、不要なフィールドは削除したり、同じタイプのフィールドを複製して追加したりすることも簡単です。
- フォームの保存とアプリの公開:フォームの設計が一通り完了したら、画面左上(または右上)にある「フォームを保存」ボタンをクリックします。この時点ではまだアプリは他の人には見えません。最終的に「アプリを公開」ボタンをクリックすると、作成したアプリが利用可能な状態になります。公開後も、設定画面からいつでもフォームの修正や機能の追加が可能です。
このように、kintoneのアプリ作成は、プログラミングの専門知識がなくても、直感的な操作で進めることができます。この「ドラッグ&ドロップで簡単設計」という手軽さが、現場の担当者が自ら業務改善のアイデアを形にすることを可能にし、デジタルトランスフォーメーション(DX)への第一歩を踏み出しやすくしています。まずは簡単なアプリから作成し、使いながら改善していくという進め方がおすすめです。既存のExcel資料を元にアプリを作成する機能も、データ移行の手間を省き、迅速なシステム導入を支援します。
関連記事:kintoneとは?初心者にもわかりやすく徹底解説!業務効率化を実現するクラウドサービス
データ入力・共有・アクセス管理の基本操作
kintone(キントーン)でアプリを作成したら、次はそのアプリを使って実際にデータを入力し、チームで共有し、そして適切に情報を管理していくことになります。ここでは、これらの基本的な操作方法について解説します。
データ入力の基本
- フォームへの入力: 作成したアプリを開くと、設計したフォーム(入力画面)が表示されます。各フィールド(項目)に、指示に従ってデータを入力していきます。例えば、テキストフィールドには文字を、数値フィールドには数字を、日付フィールドではカレンダーから日付を選択します。ファイル添付フィールドには、PCからファイルを選んでアップロードします。
- 一括登録・更新: 既存のExcelファイルやCSVファイルにまとめられた大量のデータを、一度にkintoneアプリに登録(インポート)したり、既存のレコードをまとめて更新したりすることも可能です。これにより、データ移行作業の負担を大幅に軽減できます。
データ共有の仕組み
kintoneの大きなメリットの一つは、入力されたデータがリアルタイムに関係者間で共有されることです。
- アプリ内での共有: アプリにアクセス権を持つユーザーは、登録されたレコードを閲覧したり、条件で絞り込んだり、並べ替えたりすることができます。
- スペース機能: 特定のプロジェクトチームや部署単位で「スペース」という専用の場所を作成できます。スペース内では、関連するアプリをまとめて表示したり、掲示板のように情報を発信したり、メンバー間でディスカッション(スレッド形式)を行ったり、ファイルを共有したりできます。
- ゲストスペース: 必要に応じて、社外の取引先や協力会社の担当者を「ゲストユーザー」として特定の「ゲストスペース」に招待し、限定された情報(アプリやスレッド)のみを共有することができます。これにより、プロジェクト単位での社内外連携がスムーズになります。
- コメント機能: 各レコード(個々のデータ)には、コメントを書き込む機能があります。例えば、案件管理アプリのある案件レコードに対して、営業担当者が進捗状況をコメントで報告し、上司がそれに対して指示やアドバイスを返す、といった使い方ができます。宛先を指定してメンション(通知)を送ることも可能です。
- 通知機能: データが更新されたり、自分宛のコメントが付いたりすると、kintoneの画面上やメール、スマートフォンアプリへのプッシュ通知で知らされます。これにより、重要な情報を見逃さず、迅速な対応が可能になります。
- チームメンバーの招待: kintoneの利用を開始する際や、新しいメンバーが加わった際には、管理者がメンバーを招待(ユーザー登録)することで、kintone環境へのアクセスが可能になります。
関連記事:【最新版】kintone(キントーン)の料金プラン徹底解説|導入費用・月額コストと業務効率化の効果を比較検討
アクセス管理の基本
kintoneでは、誰がどの情報にどこまでアクセスできるかを細かく制御する「アクセス権管理」機能が充実しています。これにより、情報の機密性を保ちつつ、必要な情報を必要な人にだけ安全に共有することが可能です。
- 設定レベル: アクセス権は、以下の3つのレベルで設定できます。
- アプリ単位: アプリそのものに対して、誰が利用(閲覧、レコード追加、編集、削除、管理)できるかを設定します。
- レコード単位: アプリ内の個々のレコード(データ行)に対して、特定の条件(例:作成者が自分である、ステータスが「承認済み」であるなど)を満たすレコードについて、誰が閲覧・編集・削除できるかを設定します。
- フィールド単位: レコード内の特定の項目(フィールド)に対して、誰が閲覧・編集できるかを設定します。例えば、「給与」フィールドは人事部員以外には見せない、といった制御が可能です。
- 設定対象: アクセス権は、個々の「ユーザー」だけでなく、「組織(部署など)」や、任意に作成できる「グループ」単位で割り当てることができます。メンバーの異動があった場合でも、組織やグループの設定を変更するだけで済むため、管理が容易です。
- 許可する操作: 各設定対象に対して、「閲覧」「追加」「編集」「削除」「管理」といった操作権限を細かく許可または不許可に設定できます。
これらのデータ入力、共有、アクセス管理の基本操作を理解し、適切に設定・運用することで、kintoneは単なるデータ置き場ではなく、組織の情報を活性化させ、安全かつ効率的なコラボレーションを実現するプラットフォームとなります。特にアクセス権の設定は、情報セキュリティの観点からも非常に重要であり、導入初期にしっかりとルールを定めておくことが推奨されます。
部門・チームでの活用ケースと運用ポイント
kintone(キントーン)は、その柔軟性の高さから、特定の部門やチームだけでなく、全社的な情報基盤としても活用できます。ここでは、具体的な部門・チームでの活用ケースと、kintoneを効果的に運用していくためのポイントをご紹介します。
部門・チームでの主な活用ケース
kintoneは、様々な部門の特有な業務に対応するアプリを作成し、業務効率化や情報共有の改善に貢献します。
- 営業部門:
- 顧客管理(CRM)アプリ: 顧客の基本情報、対応履歴、過去の取引実績などを一元管理。
- 案件管理(SFA)アプリ: 商談の進捗状況、確度、予定金額、活動履歴などを記録・共有。
- 見積書作成・管理アプリ: 見積書の作成、承認フロー、発行履歴を管理。
- 日報アプリ: 営業活動の報告、情報共有。
- コールリスト管理アプリ: 架電対象のリストをチームで共有・管理。
- バックオフィス部門(総務・人事・経理など):
- 社員名簿アプリ: 社員情報を一元管理。
- 採用管理アプリ: 応募者情報、選考進捗、面接評価などを管理。
- 契約書管理アプリ: 契約書の詳細情報、契約期間、関連ファイルなどを管理し、更新時期のリマインドも可能。
- 経費申請アプリ: 交通費や物品購入などの経費申請と承認フローを電子化。
- 勤怠管理アプリ: 出退勤記録、休暇申請などを管理(専門の勤怠システムとの連携も有効)。
- 社内FAQアプリ: よくある質問とその回答をまとめ、問い合わせ対応の工数を削減。
- マーケティング部門:
- イベント管理アプリ: セミナーや展示会の企画、集客状況、参加者情報などを管理。
- 制作物進捗管理アプリ: Webサイトコンテンツや販促資料などの制作物の進捗状況、担当者、納期を管理。
- タスク管理アプリ: マーケティング施策ごとのタスク、担当者、期限を管理。
- システム部門:
- IT資産管理アプリ: PCやソフトウェアライセンスなどのIT資産情報を管理。
- 問い合わせ管理(ヘルプデスク)アプリ: 社内からのIT関連の問い合わせ内容、対応状況、解決策を記録・共有。
- 全社利用:
- 社内ポータル: お知らせ、各種申請へのリンク、共有ドキュメントなどを集約したポータルサイトを構築。
- 稟議・申請ワークフロー: 様々な社内申請(押印申請、出張申請など)を電子化。
- 文書管理アプリ: 規程集、マニュアル、議事録などの社内文書をバージョン管理も含めて一元的に保管・共有。
- ナレッジ共有アプリ: 各自の持つノウハウや成功事例などを蓄積・共有し、組織全体の知識レベルを向上。
- 社外との連携:
- プロジェクト共同管理: ゲストスペース機能を活用し、外部の協力会社や顧客と特定のプロジェクト情報を共有し、共同で作業を進める。
- ファイル共有: 特定の資料を安全に社外関係者と共有。
関連記事:kintone(キントーン)の機能を徹底解説|業務改善を実現する連携・管理・アプリ活用のすべて
kintone運用のポイント
kintoneを導入して効果を最大限に引き出すためには、いくつかの運用上のポイントを押さえておくことが重要です。
- 導入目的の明確化と共有: 「何のためにkintoneを導入するのか」「どのような課題を解決したいのか」という目的を明確にし、関係者全員で共有することが最も重要です。目的が曖昧なままでは、アプリが乱立したり、使われない機能が出てきたりする原因となります。
- スモールスタートと段階的な拡大: 最初から全ての業務をkintone化しようとせず、まずは特定の部門や業務、あるいは課題の大きいところから小さく始めて、成功体験を積み重ねながら徐々に利用範囲を広げていくアプローチが効果的です。
- 現場担当者の積極的な巻き込み: アプリの設計や改善プロセスには、実際にその業務を行う現場の担当者の意見を積極的に取り入れましょう。現場のニーズに合わないシステムは使われなくなってしまいます。現場担当者が「自分たちのためのシステムだ」と感じられるように、一緒に作り上げていく姿勢が大切です。
- 運用ルールの策定と周知徹底:
- アプリ作成ルール: 誰がアプリを作成できるのか、アプリの命名規則、本番用アプリとテスト用アプリの区別などを定めます。
- データ管理ルール: 個人情報や機密情報の取り扱い、データの入力ルール(表記統一など)を明確にします。
- スペース利用ルール: スペースの作成基準や参加メンバーの範囲などを定めます。
- 定期的な棚卸し: 不要になったアプリや古くなった情報を定期的に整理し、システム全体の健全性を保ちます。 これらのルールは、自由な活用を妨げるものではなく、無秩序な状態を防ぎ、kintoneの価値を持続させるために必要です。
- 推進担当者の設置と役割分担: kintoneの導入・運用をリードする推進担当者(できれば複数名)を任命し、アプリ作成支援、運用ルールの管理、利用者への教育・サポートといった役割を分担すると、スムーズな展開が期待できます。
- 教育・サポート体制の整備: 利用者向けの操作説明会や勉強会を定期的に開催したり、気軽に質問できる相談窓口を設けたりするなど、利用者が安心してkintoneを使える環境を整えることが、定着には不可欠です。
- ダブルスタンダードを避ける: 「kintoneが使えない人は従来のExcelや紙でも良い」といった例外を認めてしまうと、kintoneへの移行が進まず、二重管理が発生し形骸化する恐れがあります。可能な限りkintoneでの運用に統一する方針を明確にしましょう。
これらのポイントを意識し、自社の状況に合わせて運用体制を構築していくことで、kintoneは部門やチームの壁を越えた強力な業務改善プラットフォームとして機能するでしょう。特に、一つの部門での成功事例は、他の部門への展開を促す「起爆剤」となります。全社導入を目指し業務の効率化を図りましょう。
ブランディングで育てるECコンサルティング会社を経営。
ECコンサルタント兼Webマーケターとして、中小企業向けに100社以上のECサイト構築、50社以上の課題解決を支援してきました。ブランドの魅力を可視化し「選ばれるECサイト」を実現するブランディングデザイナーでもあります。全日本SEO協会会員として、SEOによる集客支援にも定評があります。
10年以上にわたりEコマース支援を行ってきた中で、売上向上には表側の集客・販売戦略だけでなく、裏側を支えるバックオフィスの効率化が大きく関係することに気づきました。そこで現在は、kintoneを活用した業務改善・DX支援にも力を入れ、ECと業務の両面から企業の成長をワンストップで支援しています。
ブランディングで育てるECコンサルティング会社|アイヴィクス株式会社
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