小規模・中小企業向けkintone導入支援なら
アイヴィクス株式会社


「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を最近よく耳にしませんか?「なんだか難しそう…」と感じるかもしれませんが、要は「デジタルツールで仕事をもっと楽にしよう!」という取り組みのことです。その中でも、プログラミングの知識がなくてもアプリが作れるノーコード・ローコードというツールが、今とても注目されています。
特に、お客様の情報を管理する「顧客管理」は、どんなビジネスでも重要な業務ですよね。この顧客管理を効率化するために、Googleが提供する「AppSheet」と、日本の企業であるサイボウズが提供する「kintone」という二つのツールがよく比較されます。
この記事では、顧客管理アプリの導入を考えているけれど、どちらを選べばいいか分からない…というあなたのために、二つのツールを徹底的に比較します。単なる機能の紹介だけでなく、料金や使いやすさ、サポート体制まで、あなたの会社にピッタリなツールがどちらか分かるように、分かりやすく解説していきますね 。
目次
AppSheetとkintoneは、どちらもノーコードでアプリを開発できる点は同じですが、実は得意なことが全く違います。この違いを知ることが、ツール選びの最初のステップです。
AppSheetを一言でいうと、「今あるデータをスマホアプリに変身させるツール」です。例えば、あなたが普段使っているGoogleスプレッドシートやExcelの顧客リストを、AppSheetと連携させるだけで、あっという間にスマホで使える顧客管理アプリが完成します。Googleのサービスなので、Google DriveやGmailとの相性も抜群です 。
一方、kintoneは「データを入れる箱(データベース)とアプリがセットになった宝箱」のようなツールです。データの置き場所をあれこれ考える必要がなく、kintoneの中でデータの管理からアプリの作成、さらにはチーム内のコミュニケーションまで全てが完結します 。日本の企業が作っているだけあって、私たち日本人にとって非常に分かりやすく、直感的に使えるのが大きな魅力です 7。
この違いは、アプリの作り方にも表れます。AppSheetは「どのデータを使おうかな?」と、手持ちのデータから考え始めるので、少しだけITの知識が必要になることがあります 。対してkintoneは「どんな情報を管理したいかな?」と、作りたいアプリのイメージから始められるので、パソコンが苦手な方でも安心してスタートできます 7。
表1: AppSheet vs. kintone – 基本比較
| 比較項目 | AppSheet | kintone |
| 提供元 / 出自 | Google / グローバル | サイボウズ / 日本 |
| 基本コンセプト | 今あるデータをアプリ化 | データベースとアプリが一体化 |
主なデータソース | Googleスプレッドシート, SQL DB等 | kintone内蔵データベース |
| 得意なユーザー | ITに詳しい人, 外回りの営業担当 | パソコンが苦手な人, 社内チーム |
| 最大の強み | データの自由度, スマホ機能 | 使いやすさ, 業務フロー管理, サポート |
ツールを選ぶ上で、料金はとても重要ですよね。でも、月額料金だけでなく、あなたの会社の規模や使い方に合った「トータルコスト」で考えることが大切です。
AppSheetの一番の魅力は、なんといっても無料で始められる点です 。まずは無料で試してみて、「これなら使えそうだ!」と思ったら有料プランに切り替える、という使い方ができます。これならリスクがなくて安心ですよね。
有料プランも、月々5ドルからと非常にリーズナブルです 。
そして、ここが重要なポイントです。もしあなたの会社が有料版のGoogle Workspace(GmailやGoogle Driveのビジネス版)を使っているなら、AppSheetの主要な機能(Coreプラン)が追加料金なしで使えてしまうんです 。これは、対象の企業にとっては、ものすごいメリットと言えるでしょう。
表2: AppSheet 料金プランと顧客管理アプリ向け主要機能
| プラン | 価格(ユーザー/月) | 主要機能と制限 | 顧客管理での用途 |
| Free | $0 | お試し開発, ユーザー10名まで | 個人利用, 学習, 「とりあえず作ってみる」 |
| Starter | $5 | ユーザー数無制限, 基本的な自動化 | 小規模チームでの簡単な顧客情報集め |
| Core | $10 (Workspaceに内包) | 少し高度な自動化, セキュリティ設定, バーコード読取 | ほとんどの社内アプリ, 基本的な顧客管理 |
| Enterprise | $20~ | 外部システムとの連携など全部入り | 他のシステムと連携する本格的な顧客管理 |
kintoneの料金プランは、シンプルに2種類。「ライトコース」(1,000円/ユーザー/月)と「スタンダードコース」(1,800円/ユーザー/月)です。
kintoneの料金で注意したいのは、最低契約ユーザー数が10名からという点です。つまり、スタンダードコースなら最低でも月額18,000円がかかります。そのため、2〜3人でビジネスを始めたばかりの会社にとっては、少しハードルが高いかもしれません。
表3: kintone 料金コースと顧客管理アプリ向け主要機能
| コース | 価格(ユーザー/月、最低10名) | 主要機能と制限 | 顧客管理での用途 |
| ライト | 1,000円 | アプリ数200個, 外部サービスとの連携は不可 | 顧客リストなど、kintoneの中だけで使うシンプルな管理 |
| スタンダード | 1,800円 | アプリ数1,000個, 外部連携や機能追加に完全対応 | 本格的な顧客管理, ワークフロー自動化, 他システムとの連携 |
表面的な価格だけでは、本当のコストは分かりません。
AppSheetは、Google Workspaceをすでに使っている企業なら、驚くほど安く高機能なツールが手に入ります。少人数で、とにかくコストを抑えて始めたいなら、AppSheetが断然おすすめです。
一方kintoneは、初期コストはかかりますが、チームで本格的に活用していく場合には、料金が分かりやすく計画を立てやすいというメリットがあります。ただし、より高度な機能を使いたい場合、追加で有料のプラグイン(拡張機能)などが必要になることも覚えておきましょう。
ここでは、実際に顧客管理アプリを使う場面を想像しながら、両ツールの機能を比較してみましょう。
顧客管理アプリの心臓部となるのが、顧客データを保管するデータベースです。
営業担当者など、外出先でアプリを使う人にとって、スマホでの使いやすさは非常に重要です。
顧客情報を入力した後、そのデータを使って次の業務をいかに自動化できるかが、効率化の鍵です。
ここまで読んで、「AppSheetにもkintoneにも良いところがあるなぁ」と感じた方も多いのではないでしょうか。実は、最も賢い使い方は、両方を組み合わせていいとこ取りをすることかもしれません。
例えば、こんな使い方が考えられます。
このように、AppSheetを「外回り用の最強の武器」として、kintoneを「社内管理の鉄壁の砦」として使い分けることで、どちらか一つだけでは実現できない、最高の業務効率化が目指せます。
ゼロからアプリを作るのは大変そう…と感じるかもしれませんが、どちらのツールにもすぐに使えるテンプレートが用意されています。
あなたの会社では、どちらのツールが活躍しそうか、具体的なシーンで見てみましょう。
どんなに良い道具も、使いこなせなければ宝の持ち腐れですよね。ここでは、どちらが学習しやすいか、困ったときにサポートしてもらえるか、を比較します。
AppSheetを使いこなすには、正直、少し勉強が必要です。開発画面が基本的に英語であることと、データベースの基本的な仕組みを少し理解しておく必要があるためです。
ただ、安心してください。最近は日本語の助っ人が増えてきました。
とはいえ、基本的には自分で調べながら解決していくスタイルになることが多いでしょう。
kintoneは、パソコンが苦手な人でも安心です。画面はすべて日本語で、ドラッグ&ドロップの簡単な操作でアプリが作れるので、誰でもすぐに使い始めることができます。
そして、kintone最大の魅力とも言えるのが、至れり尽くせりの手厚いサポート体制です。
これだけサポートが充実していれば、社内にIT専門家がいなくても、安心して導入を進められますよね。
これまでの分析を元に、あなたの会社にどちらのツールが合っているか、見ていきましょう。
選定理由: 無料から始められる手軽さは、予算が限られている場合に最適です。Google Workspaceを契約済みなら、実質タダで高機能が使えるのでコストパフォーマンスは最高です。そして、スマホでの使いやすさは、現場仕事の強力な味方になります。
選定理由: 10名以上のチームで使うことを前提に作られているため、組織での導入に向いています。日本の会社に嬉しい承認フローの管理機能は、業務改善に大きく貢献します。そして何より、困ったときにいつでも相談できるパートナーの存在は、大きな安心材料です。
さて、あなたの会社にはどちらのツールが合いそうでしたか?最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
AppSheetとkintone、どちらを選ぶべきか。それは、「あなたの会社が、仕事の効率を上げるために何を一番大切にしたいか?」で決まります。
もしあなたが、「今あるデータを活かして、現場でフットワーク軽く動きたい!」と考えるなら、AppSheetは最高のパートナーになるでしょう。あなたの会社の機動力を劇的に上げてくれるはずです。
一方で、「社内の情報を一箇所にまとめて、みんなで業務をスムーズに進めたい。そして、困ったときには安心して相談したい」と考えるなら、kintoneがあなたの会社を支える、頼もしい土台となってくれるはずです。
そして、もし予算に余裕があるなら、現場はAppSheet、社内はkintoneという「いいとこ取り」のハイブリッド活用が、あなたの会社のDXを成功に導く、最強の選択肢になるかもしれません。

ブランディングで育てるECコンサルティング会社を経営。
ECコンサルタント兼Webマーケターとして、中小企業向けに100社以上のECサイト構築、50社以上の課題解決を支援してきました。ブランドの魅力を可視化し「選ばれるECサイト」を実現するブランディングデザイナーでもあります。全日本SEO協会会員として、SEOによる集客支援にも定評があります。
10年以上にわたりEコマース支援を行ってきた中で、売上向上には表側の集客・販売戦略だけでなく、裏側を支えるバックオフィスの効率化が大きく関係することに気づきました。そこで現在は、kintoneを活用した業務改善・DX支援にも力を入れ、ECと業務の両面から企業の成長をワンストップで支援しています。

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