投稿日:20250616
更新日:20250617
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kintone
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kintone(キントーン)の導入を検討する上で、料金プランや費用、そしてそれに見合う効果が得られるのか(費用対効果)は非常に重要な判断材料となります。このセクションでは、kintoneの料金体系の特徴、プランの選び方、導入にかかる具体的なコストとそれによって削減できる手間や作業、さらに他社製品との比較ポイントについて詳しく解説します。
料金プラン・費用の特徴と選び方
Kintoneの月額費用はいくらですか?
kintone(キントーン)の料金プランは、主に「ライトコース」「スタンダードコース」「ワイドコース」の3種類が用意されており、それぞれ利用できる機能やアプリ数・スペース数の上限、そして月額費用が異なります。
表3: kintone料金プラン比較(2024年11月改定後情報含む)
項目 | ライトコース | スタンダードコース | ワイドコース |
月額料金/ユーザー(税抜) | 1,000円 | 1,800円 | 3,000円 |
最小契約ユーザー数 | 10ユーザー | 10ユーザー | 1,000ユーザー |
アプリ数上限 | 200個 | 1,000個 | 3,000個 |
スペース数上限 | 100個 | 500個 | 1,000個 |
外部連携・プラグイン | × 利用不可 | ○ 利用可能 | ○ 利用可能 |
API利用 | × 利用不可 | ○ 利用可能 | ○ 利用可能 |
JavaScript/CSSカスタマイズ | × 利用不可 | ○ 利用可能 | ○ 利用可能 |
ディスク容量/ユーザー | 5GB | 5GB | 5GB |
主な対象 | 小規模チーム、コスト重視、機能拡張不要 | 中小企業、主力システムとして活用、機能拡張必要 | 大企業、全社導入、大規模利用 |
無料お試し | なし | 30日間あり | 要問い合わせ |
料金プランの主な特徴:
- 初期費用無料: どのプランを選んでも、初期費用はかかりません。
- ユーザー単位の月額課金: 基本的に利用するユーザー数に応じた月額料金が発生します。ただし、各コースには最小契約ユーザー数が設定されています(例:ライトコース、スタンダードコースは10ユーザーから)。
- 契約期間: 1ヶ月ごとに契約更新が可能です。
- ディスク容量: 1ユーザーあたり5GBのディスク容量が標準で付与されます。組織全体では「契約ユーザー数 × 5GB」が利用可能です。容量が不足する場合は、有料オプション(例:月額1,000円/10GB)で増設できます。
- ゲストユーザー: 社外のユーザーを限定的にkintoneに招待できる「ゲストユーザー」向けの料金プランも用意されています。ライトコースは月額700円/ゲストユーザー、スタンダードコースは月額1,440円/ゲストユーザーなど、コースによって価格が異なります。
- オプションサービス: よりセキュアなアクセスを実現する「セキュアアクセス」(月額250円/ユーザー)や、メール共有を便利にする「メール共有オプション」(スタンダードコース以上で利用可能)など、必要に応じて追加できる有料オプションがあります。
- 特別ライセンス: 教育機関向けの「アカデミック/ガバメントライセンス」や、非営利団体向けの「チーム応援ライセンス」といった特別価格のライセンスも提供されています。
関連記事:kintone(キントーン)の機能を徹底解説|業務改善を実現する連携・管理・アプリ活用のすべて
料金プランの選び方:
どのプランを選ぶべきかは、企業の規模、kintoneの利用目的、必要な機能、そして予算によって異なります。
- ライトコースが適しているケース:
- 利用ユーザー数が比較的少ない小規模なチームや部門での利用。
- まずは基本的なデータ管理や情報共有から始めたい、コストを最優先に抑えたい場合。
- プラグインやAPI連携といった外部連携機能や、JavaScriptによるカスタマイズが不要な場合。
- スタンダードコースが適しているケース:
- kintoneを中核的な業務システムとして本格的に活用したい中小企業。
- 帳票出力プラグイン、外部連携フォーム、API連携など、kintoneの拡張機能をフルに活用して、自社の業務に最適化されたシステムを構築したい場合。
- 将来的に利用範囲の拡大や、より高度なカスタマイズを行う可能性を見据えている場合。
- 30日間の無料お試し期間を利用して、じっくりと機能を試してから導入を決定したい場合(ライトコースには無料お試しがありません)。 多くの企業にとって、kintoneの真価である「拡張性」を活かせるスタンダードコースが、費用対効果のバランスが良い選択肢となることが多いでしょう。
- ワイドコースが適しているケース:
- 従業員数が多く、kintoneの契約ユーザー数が1,000人を超えるような大企業での全社導入。
- 非常に多くのアプリやスペースを作成・管理する必要がある大規模な利用。
プラン選択に迷った場合は、まずはスタンダードコースの無料お試しを利用し、自社の業務でどの程度の機能が必要になるかを見極めるのが良いでしょう。また、月額ライセンス料だけでなく、利用する可能性のあるプラグインの費用や、将来的なディスク増設費用なども含めた総コスト(TCO)を考慮して検討することが重要です。
kintone導入にかかるコストと削減できる手間・作業
kintone(キントーン)を導入する際には、初期費用や月額料金といった直接的なコストが発生しますが、それと同時に、これまでかかっていた多くの手間や作業を削減し、間接的なコスト削減や生産性向上という大きなメリットをもたらします。ここでは、kintone導入にかかる主なコストと、それによって削減が期待できる手間や作業について具体的に見ていきましょう。
kintone導入にかかる主なコスト
- 初期費用: kintoneのライセンス自体には初期費用はかかりません。
- 月額(または年額)ライセンス費用: 選択した料金プラン(ライト、スタンダード、ワイド)と契約ユーザー数に応じて発生します。
- オプション費用:
- ディスク増設: 標準のディスク容量(5GB/ユーザー)を超える場合に必要となる追加費用(例:月額1,000円/10GB)。
- セキュアアクセス: IPアドレス制限や端末認証など、より高度なセキュリティを求める場合の追加費用(例:月額250円/ユーザー)。
- その他、メール共有オプションなど、特定の機能を追加するための費用。
- プラグイン費用:
- kintoneの機能を拡張するためのプラグインには、無料で利用できるものもありますが、高機能なものや特定の業務に特化したものの多くは有料(月額制や買い切り型など)です。導入するプラグインの数や種類によって、この費用は変動します。
- カスタマイズ開発費用:
- 標準機能や既存のプラグインだけでは要件を満たせず、JavaScriptやAPIを利用した独自のカスタマイズ開発が必要な場合、自社で対応できなければ外部の開発パートナーに委託する費用が発生します。連携の規模や複雑さにもよりますが、一般的に基幹システムとのAPI連携などでは数万円から数十万円程度の費用がかかることもあります。
- 教育・研修費用:
- 社内でのkintone利用をスムーズに浸透させるために、利用者向けの研修やマニュアル作成、サポート体制の構築などに間接的なコスト(時間や人件費)がかかる場合があります。
kintone導入によって削減できる手間・作業(費用対効果)
kintoneを導入することで、以下のような手間や作業が削減され、結果として大きな費用対効果が期待できます。
- 手作業によるデータ入力・転記作業の削減:
- Excelや紙の帳票への二重入力、三重入力といった非効率な作業が不要になります。ルックアップ機能やプロセス管理による自動入力・更新により、大幅な時間短縮と入力ミスの削減が可能です。
- 紙ベースの書類作成・管理・保管コストの削減:
- 見積書、請求書、申請書などをkintone上で作成・承認・管理することで、紙代、印刷代、郵送費、ファイル代、キャビネットなどの保管スペース、さらには書類を探す時間といったコストを大幅に削減できます。
- 会議や報告のための資料作成時間の短縮:
- kintoneにデータがリアルタイムに集約・可視化されるため、会議や報告のために都度Excelでデータを集計し直し、PowerPointで資料を作成するといった手間が大幅に軽減されます。
- 情報検索時間の短縮:
- 必要な情報や過去の経緯がkintone内のアプリやスペースに一元管理されるため、「あの資料どこだっけ?」「あの件どうなった?」といった情報検索にかかる無駄な時間を削減できます。
- 複数システム利用によるライセンス費用や管理コストの削減:
- これまで複数の異なるツールや小規模システムで行っていた業務をkintoneに集約することで、それらのツールのライセンス費用や保守管理にかかるコスト、手間を削減できます。
- 移動時間やコミュニケーションロスの削減:
- クラウド上で情報が共有されるため、承認のためだけにオフィスに戻ったり、情報確認のために電話やメールで何度もやり取りしたりする手間が減ります。
- ミスによる手戻り作業の削減:
- 入力ミスや確認漏れ、請求漏れなどが減ることで、修正作業や再処理といった手戻りの手間と、それに伴う機会損失を防ぎます。
- 残業時間の削減:
- 業務全体の効率化が進むことで、残業時間が削減され、人件費の抑制だけでなく、従業員のワークライフバランス向上にも繋がります。
kintone導入のコストは、単なる「経費」として捉えるのではなく、これらの削減できる手間や作業、そしてそれによって生まれる時間や生産性の向上、さらには従業員のモチベーションアップや新しい価値創出の機会といった、将来的な「投資対効果(ROI)」の観点から評価することが重要です。株式会社クレーンメンテ広島の事例では、kintone導入により月210時間の作業時間が削減され、年間1008万円分の費用対効果が得られたと報告されています。このような具体的な効果を試算することで、kintone導入の意義がより明確になるでしょう。
他社製品・CRMツールとの比較ポイント
kintone(キントーン)は非常に多機能で柔軟なプラットフォームですが、市場には他にも様々な業務改善ツールやCRM(顧客関係管理)ツールが存在します。自社にとって最適なツールを選ぶためには、kintoneの特徴を理解した上で、他の選択肢と比較検討することが不可欠です。ここでは、kintoneと他社製品、特にCRMツールとを比較する際の主要なポイントを解説します。
kintoneの基本的な特性(比較の前提として)
- 業務アプリ構築プラットフォーム: kintoneの最も大きな特徴は、特定の業務に特化した完成品ではなく、ユーザー自身がノーコード・ローコードで自社の業務に合わせたカスタムアプリケーションを自由に構築できる「プラットフォーム」であるという点です。CRM機能も、顧客管理アプリや案件管理アプリとしてユーザーが作成・活用する形が基本です。
- 高いカスタマイズ性と柔軟性: 業務プロセスの細部に至るまで、自社のやり方に合わせてシステムを設計・変更できる自由度が非常に高いです。
- 情報集約・一元管理の強み: 社内に散在する様々な種類のデータ(顧客情報、案件情報、プロジェクト進捗、日報、問い合わせ履歴、文書など)をkintone上に集約し、一元的に管理・活用することを得意としています。これにより、部門横断的な情報共有や業務連携が促進されます。
一般的なCRMツールとの比較ポイント(例:Zoho CRMなど)
多くのCRMツールは、顧客情報の管理、営業活動の支援(SFA機能)、マーケティング活動の自動化(MA機能)といった領域に特化して設計されています。
- 目的の違い:
- kintone: 主な目的は、社内の様々な「業務のシステム化」と「データの集約・一元管理」による業務効率化です。CRMはその一環として構築可能です。
- 専門CRMツール: 主な目的は、「顧客との関係性強化」を通じた「営業成果の最大化」や「売上向上」です。
- 機能の深さと範囲:
- kintone: 標準機能は汎用的ですが、特定の業務(例:高度な営業パイプライン管理、MAキャンペーンの自動実行など)に特化した機能は、アプリの作り込みやプラグイン、外部連携によって補う必要があります。
- 専門CRMツール: 顧客管理、商談管理、営業活動分析、リード育成、メールマーケティングといったCRM/SFA/MA関連の機能が、標準で深く作り込まれていることが多いです。KPI設定やファネル分析など、営業成果に直結する分析機能も充実している傾向があります。
- 導入・運用の手軽さと専門性:
- kintone: 基本的なアプリ作成はノーコードで手軽に始められますが、高度なCRM機能を実装しようとすると、アプリ設計の知識やプラグイン選定、場合によってはカスタマイズ開発のスキルが必要になることがあります。
- 専門CRMツール: 多くの機能が最初からパッケージ化されているため、設定を行えばすぐに使い始められる反面、機能が多すぎて使いこなせなかったり、自社の業務プロセスに合わせるためのカスタマイズに制約があったりする場合もあります。
- コスト構造:
- kintone: 基本ライセンス費用は比較的安価なプランからありますが、高度な機能を実現するために有料プラグインや外部連携サービスを利用すると、追加コストが発生する可能性があります。
- 専門CRMツール: 一般的にkintoneの基本プランより月額ライセンス費用が高めな傾向がありますが、必要な機能がオールインワンで含まれているため、追加費用が発生しにくいシンプルな料金体系の場合もあります。無料プランや低価格プランを提供しているツールもあります。
- 適した企業・ニーズ:
- kintoneが適しているケース:
- CRMだけでなく、人事、総務、プロジェクト管理など、社内の様々な業務を一つのプラットフォームでシステム化し、情報を一元管理したい企業。
- 自社独自のユニークな業務プロセスに合わせて、柔軟にシステムを構築・改修したい企業。
- まずは低コストでスモールスタートし、徐々に利用範囲や機能を拡張していきたい企業。
- IT専門の担当者が少なく、現場主導で業務改善を進めたい企業。
- 専門CRMツールが適しているケース:
- 最優先課題が顧客管理の強化と営業プロセスの効率化であり、売上向上に直結するSFA/MA機能をすぐに活用したい企業。
- 業界標準のベストプラクティスに基づいた高度なCRM機能を求めている企業。
- システム構築の手間をかけずに、完成された専門ツールを導入したい企業。
関連記事:kintone(キントーン)のデメリットとは?導入前に知っておきたい機能の制限・運用時の課題と解決法を解説
Salesforceとの比較
Salesforceは世界的にシェアの高い高機能なCRMプラットフォームですが、その多機能さゆえに「使いこなすハードルが高い」「導入・運用コストが高い」と感じる企業も一部にはあるようです。kintoneは、Salesforceほどの高度なCRM機能が標準で全て備わっているわけではありませんが、より手軽に導入でき、自社のニーズに合わせて必要な機能をアプリとして構築・追加していくアプローチが可能です。Salesforceで実現したいことの一部を、より低コストかつ柔軟にkintoneで実現できるケースもあります。
比較検討の際の重要ポイント
- 導入目的の明確化: 「何を解決したいのか」「どのような状態を目指すのか」を明確にすることが最も重要です。目的によって最適なツールは異なります。
- 必要な機能の洗い出し: 自社の業務に必要な機能を具体的にリストアップし、各ツールがそれらを標準で提供しているか、追加開発やプラグインで対応可能かを確認します。
- 操作性・使いやすさ: 実際にデモ版や無料トライアルを利用して、現場の担当者が直感的に操作できるか、自社のITリテラシーに合っているかを確認します。
- カスタマイズ性と拡張性: 将来的な業務の変化や拡張に対応できる柔軟性があるか、外部システムとの連携は容易かなどを評価します。
- 総所有コスト(TCO): 初期費用、月額(年額)ライセンス費用だけでなく、カスタマイズ費用、プラグイン費用、保守運用費用、教育費用などを含めたトータルコストで比較します。
- サポート体制: 導入時や運用開始後のサポート体制が充実しているかを確認します。
kintoneは「業務アプリ構築プラットフォーム」という特性上、多くの専門CRMツールとは立ち位置が異なります。どちらが優れているというわけではなく、自社の目的、規模、業務内容、ITスキル、予算などを総合的に考慮し、最適なツールを選定することが成功の鍵となります。
ブランディングで育てるECコンサルティング会社を経営。
ECコンサルタント兼Webマーケターとして、中小企業向けに100社以上のECサイト構築、50社以上の課題解決を支援してきました。ブランドの魅力を可視化し「選ばれるECサイト」を実現するブランディングデザイナーでもあります。全日本SEO協会会員として、SEOによる集客支援にも定評があります。
10年以上にわたりEコマース支援を行ってきた中で、売上向上には表側の集客・販売戦略だけでなく、裏側を支えるバックオフィスの効率化が大きく関係することに気づきました。そこで現在は、kintoneを活用した業務改善・DX支援にも力を入れ、ECと業務の両面から企業の成長をワンストップで支援しています。
ブランディングで育てるECコンサルティング会社|アイヴィクス株式会社
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