投稿日:20250616
更新日:20250617
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kintone
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kintone(キントーン)は多くのメリットを提供する一方で、導入を成功させるためにはいくつかの注意点を理解し、よくある疑問を解消しておくことが重要です。このセクションでは、kintoneで「できること・できないこと」やデメリットを改めて把握し、過去の導入事例から学ぶべき失敗しないためのポイント、そして実際のユーザーからの評判や口コミについて解説します。これらを踏まえることで、より現実的かつ効果的なkintone導入計画を立てることができるでしょう。
できること・できないこと、デメリットの把握
kintone(キントーン)の導入を検討する際には、その機能の限界や潜在的なデメリットを正確に理解しておくことが、後の「こんなはずではなかった」という事態を避けるために不可欠です。
kintoneが得意とすること、つまり「できること」を再確認しましょう。これには、プログラミング知識なしでのカスタム業務アプリ作成、データの一元管理とリアルタイム共有、ワークフロー(プロセス管理)による業務の標準化・自動化、チーム内コミュニケーションの促進、基本的なデータ集計とグラフによる可視化などが含まれます。
- できないこと・デメリット:一方で、以下のような点はkintoneの標準機能だけでは難しかったり、注意が必要だったりします。
- 拡張機能やカスタマイズに伴う追加コスト: kintoneの基本料金は比較的安価ですが、より高度な機能を実現するために有料のプラグインを多数導入したり、JavaScriptやAPIを活用した独自のカスタマイズ開発を外部に委託したりすると、追加のコストが発生します。予算計画時にはこれらの潜在的な費用も考慮に入れる必要があります。
- アプリ乱立とシステム連携の複雑化リスク: 誰でも簡単にアプリを作成できる反面、明確な管理ルールがないと、似たようなアプリが乱立したり、使われないアプリが増えたりして、かえって情報が探しにくくなることがあります。また、多くのアプリ間で複雑なデータ連携を組もうとすると、設計やメンテナンスの負担が重くなる可能性があります。
- 大量データの処理・管理の限界: kintoneの標準ディスク容量は1ユーザーあたり5GBであり、組織全体では「ユーザー数 × 5GB」となります。画像や動画などの大容量ファイルを大量に扱う場合は、容量不足になる可能性があります。また、一度に数万件を超えるような大量のレコードを一括処理したり、非常に複雑な計算を多数のデータに対してリアルタイムで行ったりすることは、パフォーマンス面で得意ではありません。
- 専門性の高い基幹システムの完全な代替は困難: 特定の業種に特化した高度な会計システム、生産管理システム、POSシステムなど、専門性の高い基幹システムが持つ全ての機能をkintoneだけで完全に置き換えるのは難しい場合があります。これらのシステムとは、kintoneを補完的に活用するか、データ連携を行うのが現実的です。
- デザイン・UIのカスタマイズ性の限界: 基本的なフォームレイアウトや色使いはある程度カスタマイズできますが、Webサイトのようにピクセル単位で自由にデザインを組んだり、非常に特殊なユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)を実現したりするには限界があります。
- 導入・定着には計画と努力が必要: 「簡単に始められる」とはいえ、実際に業務で効果的に活用し、組織に定着させるためには、適切なアプリ設計、データ移行、運用ルールの策定、利用者への教育といった計画的な取り組みと、ある程度の時間・労力が必要です 13。単にツールを導入するだけでは成功しません。
- 検索機能の特性理解: 全文検索機能はありますが、大量のデータの中から特定の情報をピンポイントで、かつ高度な条件で絞り込んで探し出すには、アプリの設計段階で検索しやすいようなフィールド構成を工夫したり、一覧の絞り込み条件をうまく設定したりする必要があります。
- プラグイン利用時の注意点: 無償で提供されているプラグインは、提供元によるサポートがなかったり、kintone本体のアップデートによって突然動作しなくなったり、提供が終了したりするリスクがあります。また、複数のプラグインを同時に利用すると、機能が競合して予期せぬ不具合が発生する可能性も考慮する必要があります。
関連記事:kintone(キントーン)の機能を徹底解説|業務改善を実現する連携・管理・アプリ活用のすべて
これらの「できないこと」や「デメリット」を事前に把握しておくことは、kintoneに対する過度な期待を避け、現実的な導入計画を立てる上で非常に重要です。kintoneが万能ツールではないことを理解し、その得意分野を最大限に活かしつつ、不得意な部分は他のツールや運用方法で補うといった、バランスの取れたアプローチが求められます。多くのデメリットは、事前の十分な計画、適切な運用ルールの設定、そして必要に応じた外部リソース(プラグイン開発パートナーなど)の活用によって、軽減または回避することが可能です。
導入事例から学ぶ失敗しないポイント
kintone(キントーン)の導入を成功させるためには、過去の事例から学び、よくある失敗パターンを避けることが賢明です。ここでは、kintone導入で陥りがちな失敗例と、それらを回避し、効果的な活用へと繋げるための重要なポイントを解説します 。
よくある失敗事例
- 実現したいことが複雑すぎたり、既存のやり方に固執しすぎて挫折:
- 原因: kintoneで何もかも実現しようと最初から欲張りすぎたり、これまでのExcelや紙での業務フローをそのままkintoneに持ち込もうとしたりすることで、アプリの設計が非常に複雑になり、結局作れずに頓挫してしまうケース。
- 現場担当者に使用してもらえず定着しない:
- 原因: 情報システム部門や管理者がトップダウンでアプリを構築し、実際に業務で使う現場担当者の意見やニーズが十分に反映されていない場合、使い勝手が悪く感じられたり、業務の実態に合わなかったりして、結局使われなくなり、Excelなどとの二重管理状態に陥ってしまうケース。
- 部署ごとにバラバラに活用し、全社的な効果が出ていない:
- 原因: 各部署がそれぞれ自由にアプリを作成・利用しているものの、部署間でのデータ連携や情報共有の仕組みが整っておらず、結果として組織全体としての業務効率化やデータ活用が進まず、kintone導入前とさほど変わらない「サイロ化」が再発してしまうケース。
失敗しないための重要なポイント
これらの失敗を避け、kintone導入を成功に導くためには、以下のポイントを意識することが不可欠です。
- 導入目的の明確化と共有:
- 「何のためにkintoneを導入するのか」「具体的にどのような業務課題を解決したいのか」「どのような状態を目指すのか」といった導入目的を明確にし、経営層から現場担当者まで、関係者全員でその目的意識を共有することが最も重要です。目的が明確であれば、アプリの設計方針や優先順位もおのずと定まります。
- スモールスタートと段階的な拡張:
- 最初から大規模で完璧なシステムを目指すのではなく、まずは特定の業務や一部のチームで、シンプルな機能のアプリから小さく始めてみましょう。そこで効果を実感し、運用ノウハウを蓄積しながら、徐々に利用範囲や機能、連携するアプリを増やしていく「アジャイル型」のアプローチが有効です。トライ&エラーを繰り返しながら改善していくことが大切です。
- 現場担当者の積極的な巻き込み:
- kintoneアプリの設計段階から、実際にそのアプリを使って業務を行う現場の担当者を積極的に巻き込み、意見や要望を丁寧にヒアリングしましょう。現場のニーズに即した使いやすいアプリを一緒に作り上げることで、導入後の定着率が格段に向上し、担当者の当事者意識も醸成されます。
- 業務整理の実施:
- kintoneを導入する前に、まず既存の業務フローを見直し、どこに課題があるのか、どの部分をkintoneでシステム化するのが効果的か、といった業務整理を行うことが重要です。非効率な業務プロセスをそのままkintoneに移行しても、十分な効果は得られません。
- 専任の推進担当者・チームの設置:
- kintoneの導入・運用をリードし、社内での活用を推進する専任の担当者やチームを設けることが望ましいです。アプリ作成のサポート、運用ルールの策定・周知、利用者からの問い合わせ対応、成功事例の共有といった役割を担います。
- 運用ルールの策定と徹底:
- アプリの作成権限、命名規則、個人情報や機密情報の取り扱い、データの入力ルール、不要になったアプリの管理方法など、kintoneを組織全体で統制を保ちながら効果的に活用するための運用ルールを策定し、全社で徹底することが不可欠です。
- 継続的な教育とサポート体制の整備:
- 利用者向けの操作説明会や活用セミナーを定期的に開催したり、社内に気軽に質問できるヘルプデスクやコミュニティを設けたりするなど、利用者が安心してkintoneを学び、活用できる環境を整備することが、利用促進とスキルアップに繋がります。
- 経営層の理解とコミットメント:
- kintone導入による業務改革の重要性を経営層が理解し、積極的に支援する姿勢を示すことが、全社的な取り組みを後押しします。
- 外部専門家の活用検討:
- 自社だけでのkintone導入や高度なカスタマイズ、運用体制の構築が難しいと感じる場合は、サイボウズのオフィシャルパートナーなど、kintone導入支援の実績が豊富な外部の専門家のサポートを受けることも有効な選択肢です。業務分析からアプリ設計、開発、定着支援まで、幅広いサポートが期待できます。
関連記事:kintone(キントーン)カスタマイズ活用ガイド|プラグイン・外部連携・JavaScript開発で業務システムを強化する方法
kintone導入の成功は、単にツールを導入することではなく、組織の業務プロセスや働き方を見直し、関係者が一丸となって変化に取り組む「チェンジマネジメント」の側面が強いと言えます。技術的な側面だけでなく、これらの「人的要因」や「組織的要因」に目を向け、丁寧に進めていくことが、失敗を避け、kintoneのポテンシャルを最大限に引き出すための鍵となります。
kintoneの評判・口コミとユーザーの声
kintone(キントーン)を実際に利用しているユーザーは、どのような点に満足し、またどのような点に改善を求めているのでしょうか。ここでは、様々なレビューサイトや導入事例から集められたkintoneの評判や口コミ、ユーザーの声をご紹介します。これらは、kintoneのリアルな評価を知る上で貴重な情報源となります。
kintoneの良い評判・口コミ(メリットとして評価される点)
多くのユーザーが良い点として挙げているのは、主に以下の項目です。
- 圧倒的なカスタマイズ性の高さと自由度:
- 「自社の業務や、自分たちの仕事の進め方に合わせて、本当に必要な機能だけを持つアプリやスペースを構築できる」「既存のパッケージソフトにありがちな無駄な機能がなく、オーダーメイドのような使いやすさを実現できる」といった声が多く聞かれます。この柔軟性が、様々な業種・業務に対応できるkintoneの最大の強みと認識されています。
- ノーコード・ローコードでの開発の容易さ:
- 「プログラミングの専門知識がなくても、ドラッグ&ドロップといった直感的な操作で、業務に必要なアプリを簡単に、かつ短時間で作成できる点が素晴らしい」という評価が非常に多いです。これにより、IT部門に頼らずとも現場主導で業務改善を進められる点が支持されています。「非エンジニアでも簡単に業務フローをデジタル化できた」という声もあります。
- 情報の一元管理と共有のしやすさ:
- 「これまでExcelファイルやメール、個別のシステムに散在していた情報をkintoneに集約することで、必要な情報にすぐにアクセスできるようになり、チーム内の情報共有が格段にスムーズになった」という意見が多数あります。リアルタイムでの情報共有は、業務のスピードアップに不可欠とされています。
- 導入・運用開始のスピード感:
- クラウドサービスであるため、サーバー構築などの手間がなく、アカウントを登録すればすぐに利用を開始できる手軽さが評価されています。また、アプリ作成も短時間で行えるため、思いついた業務改善をすぐに形にできる点もメリットとして挙げられています。
- コミュニケーション機能の充実:
- 各レコード(データ)に直接コメントを書き込める機能や、関係者への通知機能が充実しているため、「データに基づいた具体的なコミュニケーションが取りやすく、情報共有の漏れが減った」「チームの連携が強化された」といった声があります。
- 豊富なテンプレートとプラグイン:
- すぐに使える業務別サンプルアプリ(テンプレート)が多数用意されている点や、標準機能だけでは足りない部分を補うためのプラグインが豊富に提供されている点が、開発の手間を省き、迅速なシステム構築を可能にすると評価されています。
kintoneの悪い評判・改善を求める声(デメリットや課題として指摘される点)
一方で、改善を求める声や、利用する上での課題として以下のような点が挙げられています。
- 多機能すぎて使いこなせない・学習コストがかかる:
- 「機能が非常に豊富で自由度が高い反面、全ての機能を理解し、効果的に使いこなすまでにはある程度の時間と学習が必要だと感じる」「直感的な操作でできることは多いが、少し複雑なことをしようとすると、ツールを十分に理解していないと難しい」といった意見が見られます。導入目的が曖昧だと、どの機能を使えば良いか分からず、宝の持ち腐れになる可能性も指摘されています。
- 高度なカスタマイズには専門知識が必要:
- 基本的なアプリ作成は簡単でも、「条件分岐を多用した複雑なプロセス管理を設定したい」「JavaScriptやAPIを使って独自の機能を開発したり、外部システムと高度な連携をしたりしたい」といった場合には、やはりプログラミングの知識や専門的なスキルが求められる、という声があります。
- コストに関する懸念:
- スタンダードコースの月額料金や、高機能な有料プラグインを複数利用する場合のトータルコストが、特に小規模な企業にとっては負担に感じられることがあるようです。「安さが決め手で導入したが、追加機能にプラスの料金がかかることに慎重になる」という意見も見られます。
- UI・UXに関する一部の具体的な指摘:
- 「一覧画面で表示する項目の並び順を自由に変更できない」「アプリの一覧で、よく使うアプリだけを表示したり、不要なアプリを非表示にしたりする機能が欲しい」「プロセス管理のフローが複雑になると、全体像が掴みづらくなる」といった、より使い勝手を向上させるための具体的な改善要望も挙がっています。
- サポートドキュメントの分かりにくさ:
- 公式のヘルプドキュメントやマニュアルが、「情報量が多すぎて探しにくい」「専門用語が多くて分かりにくい」と感じるユーザーも一部にいるようです。
- ディスク容量とモバイルアプリの動作:
- 「スマートフォンアプリにインストールすると動作が重く感じることがある」「ディスク容量の上限(5GB/ユーザー)が、画像や動画を多用する業務では心許ない」といった指摘もあります。
ユーザーの声の傾向まとめ
総じて、kintoneの評判は、「高い自由度とカスタマイズ性、そしてノーコードでの開発の容易さ」という強力なメリットが高く評価されている一方で、その「多機能性ゆえの学習コストや、高度な活用における専門知識の必要性、そしてコスト面での課題」が指摘されるという傾向にあります。
ユーザーは、kintoneを使い始める初期段階ではその「手軽さ」や「分かりやすさ」に満足感を得ることが多いようです。しかし、活用が進み、より高度な業務改善やシステム連携を目指そうとすると、標準機能の限界や専門知識の壁、追加コストといった課題に直面するケースが見受けられます。
したがって、kintone導入を成功させるためには、これらのユーザーの声を参考に、自社のITリテラシーや導入目的、予算などを総合的に考慮し、現実的な期待値を持って計画的に進めることが重要と言えるでしょう。
ブランディングで育てるECコンサルティング会社を経営。
ECコンサルタント兼Webマーケターとして、中小企業向けに100社以上のECサイト構築、50社以上の課題解決を支援してきました。ブランドの魅力を可視化し「選ばれるECサイト」を実現するブランディングデザイナーでもあります。全日本SEO協会会員として、SEOによる集客支援にも定評があります。
10年以上にわたりEコマース支援を行ってきた中で、売上向上には表側の集客・販売戦略だけでなく、裏側を支えるバックオフィスの効率化が大きく関係することに気づきました。そこで現在は、kintoneを活用した業務改善・DX支援にも力を入れ、ECと業務の両面から企業の成長をワンストップで支援しています。
ブランディングで育てるECコンサルティング会社|アイヴィクス株式会社
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